賃金@(賃金の定義と賃金支払い5原則)

チェックポイント

【賃金ってなに?】

細かい賃金の条文に入る前に、

まずは賃金の定義から確認しておきましょう。

 

ひらめき労働基準法上の賃金とは

労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの

を指します(第11条)。 

 

支払いされたものが「賃金か、賃金でないか」は大切なポイントになります。 

 

賃金に含まれるものの例>

就業規則等であらかじめ定められた、退職金や慶弔見舞金

休業手当(会社都合で休業させた場合に支給)

通勤手当

所得税や社会保険料の従業員負担分を、会社が負担するとき

 

賃金に含まれないものの例>

あらかじめ定めのない結婚祝い金や病気見舞金等

役員報酬

休業補償(業務上のケガにより休業した場合に支給)

出張旅費や宿泊費

解雇予告手当

会社が全額負担する生命保険の掛金

 

 

【賃金支払いの5原則】

労働者にとって、働いたのに「賃金が支払われない」ということがあっては

安心して日々の生活をおくる事ができません。

 

そのため、この「賃金の支払い」については

厳しい5つのルールが定められています(労働基準法第24条)。

 

これを「賃金支払いの5原則」といいます。

 

  

@「通貨払い」の原則

小切手や現物で支払うことはできません。

 

(例外)

・通勤定期券の現物支給、住宅貸与の現物支給(「労働協約」が必要)

・銀行口座への振込み、証券総合口座への振込み(「本人の同意」が必要)

・退職手当の銀行振出小切手、郵便為替による支払い(「本人の同意」が必要)

 

※「労働協約」とは会社と「労働組合」とのルール決めのことです。

これまでにもよく登場している「労使協定」とは違います。

 

※ここでいう「本人の同意」は口頭での確認でもかまいません。

 

  

A「直接払い」の原則

仲介人や代理人に支払うことはできません。

 

(例外)

・使者(例えば、病気療養中の社員の家族)への支払い

・派遣先使用者を通じて派遣先で手渡しによる支払い

 

  

B「全額払い」の原則

勝手に「控除」してはいけません。

 

(例外)

・所得税や社会保険料の控除

・購買代金、社宅・寮の費用、社内預金、労働組合費など(「労使協定」が必要)

 

  

C「毎月1回以上払い」の原則

D「一定期日払い」の原則

その名の通り。毎月1回以上、一定期日に支払わなくてはいけません。

 

(例外)

・臨時に支払われるもの(結婚手当等)

・賞与

・1ヶ月を超える期間をベースに支払われる精勤手当、勤続手当など

賃金A(基準内賃金と基準外賃金)

(賃金の構成)

25    賃金の構成は、次のとおりとする。

 賃金 基本給   
  家族手当
通勤手当 
役職手当 
技能・資格手当
皆勤手当
割増賃金 時間外労働割増賃金
休日労働割増賃金
深夜労働割増賃金

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チェックポイント

【「基準内賃金」と「基準外賃金」の区分の仕方は?】

 

このサンプル条文の「賃金体系」にはありませんが、

会社によっては就業規則(賃金規程)のこの体系の中に

「基準内賃金」「基準外賃金」という単語が記載されていると思います。

 

ひらめきこの二つの区分についてはいくつかの方法があります。

“就業規則における「基準内賃金」「基準外賃金」とはこういう区分でなければいけない”

という「絶対的な定義」や「法律上の定め」はありません。

会社によってその範囲は異なる(自由)ということです。

 

当然、サンプル条文のように、あえて

「基準内賃金」「基準外賃金」による区別をしなくても、問題はありません。

  

 

<区分の仕方@>

“一般的”なのは

「基準内賃金」:所定労働時間の労働に対して支払われる賃金

「基準外賃金」:所定労働時間外の労働に対して支払われる賃金

という分け方。

 

この場合、「基準内賃金」には基本給、職能給、役職手当の他、

家族手当と通勤手当も含まれますね。

諸手当は全て「基準内賃金」というイメージです。

  

 

<区分の仕方A>

“割増賃金の計算に含む賃金”という基準で分けることもあります。

「基準内賃金」:割増賃金の計算に含む賃金

「基準外賃金」:割増賃金の計算に含まない賃金

 

この場合、割増賃金算定除外賃金である場合の家族手当通勤手当

「基準外賃金」の方に入ります。

 

 

<区分の仕方B>

「基準内賃金」=“賞与(ボーナス)の基礎賃”として用いられる場合もあります。

この定めをした場合、その該当する賃金はまさに会社ごとに異なりますね。

賃金B(家族手当)

(基本給)

26    基本給は、本人の職務内容、経験、技能、勤務成績、年齢等を考慮して各人ごとに決定する。

(家族手当)

27    家族手当は、次の扶養家族を有する従業員に対し、支給する。

@  配偶者                                              月額○円        

A  18歳未満の子1人から3人まで       1人につき  月額○円

B  60歳以上の父母                       1人につき  月額○円

 

 

チェックポイント

【家族手当は安易に決めてはいけません!】

家族手当・扶養手当など(以下「家族手当」)を定めている会社は多いと思います。

 

家族手当について、押さえておくべきポイントは大きく2つです。

@ 対象者の「範囲」を明確にしておくこと

A 割増賃金計算から除外する場合は「手当額の決め方」に注意すること

 

 

【@ 対象者の「範囲」を明確にしておくこと】

一見、なんの問題もなさそうですが、

そもそも「扶養家族」ってなんですか?

きちんと説明できますか?

共働きの「配偶者」がいる場合にまで家族手当が支給されたりしていませんか?

 

家族手当は法律で支給が義務付けられているわけではありません

家族手当が無い会社もありますよね。

 

ですから、

ここでの決め事は「会社独自のルール」ということになりますので、

【就業規則(または賃金規程)】でしっかり決めておく必要があります。

 

 

【A割増賃金計算から除外する場合は

   「手当額の決め方」に注意すること】

割増賃金の計算を行う際、

一定の賃金についてはこの計算から“除外”することができます。

これについては別途まとめますが、

「家族手当」もその除外される賃金の1つとされています。

 

ひらめきここでいう「家族手当」とは、

「扶養家族数又はこれを基礎とする家族手当額を基準として算出した手当」

をいい、これに該当すれば名称がどんなものであっても

(例:「扶養手当」など)同じ取り扱がされます。

(昭和22年の通達より)

 

注意していただきたいのは、

たとえ名称が「家族手当」であっても、

ここでいう家族手当の定義に該当しない場合は、

割増賃金計算から除外できなということです。

 

つまり、下記の様な「家族手当」は、割増賃金計算から除外することができません!

× 家族数に関係なく、一律に支給される

× 一家を扶養する者に対し、基本給に応じて支給される

× 扶養家族がある者に対して
  
「本人分何円」「扶養家族1人につき何円」
  
という条件で支払われるとともに、
  バランスの関係上扶養家族のいない「独身者」に対しても
  一定額の手当が支払われているケース

     ↓そのうち、 

  “「独身者」に対して支払われる部分”
  
“扶養家族がある者の「本人分何円」の部分”

賃金C(住宅手当)

チェックポイント

【「住宅手当」のおさえどころ】

今回のサンプル規程には記載がありませんでしたが、

家族手当同様、「住宅手当」を定めている会社もあるのではないでしょうか。

 

住宅手当について、押さえておくべきポイント、

実は、「家族手当」とそっくりです。

@ 対象者の「範囲」を明確にしておくこと

A 割増賃金計算から除外する場合は「手当額の決め方」に注意すること

 

 

【@ 対象者の「範囲」を明確にしておくこと】

家族手当同様、

住宅手当は法律で支給が義務付けられているわけではありません。

支給するのかどうかは会社で決めることになります。

 

ここでの決め事は「会社独自のルール」ということになりますので、

【就業規則(または賃金規程)】でしっかり決めておく必要があります。

 

 

【A割増賃金計算から除外する場合は

   「手当額の決め方」に注意すること】

割増賃金の計算を行う際、

一定の賃金についてはこの計算から“除外”することができます。

 

「家族手当」と同じように、

「住宅手当」もその除外される賃金の1つとされています。

そして、やはり「割増賃金の計算から除外できない“住宅手当”」もあるので、

おさえておきましょう。 

 

ひらめきここでいう「住宅手当」とは、

(イ) 住宅に要する費用に応じて算定される手当

(ロ) 居住に必要な住宅の賃貸・購入であること

(ハ) 費用に応じた算定であること(定率・段階的区分など)

をいい、

これに該当すれば名称がどんなものであっても 同じ取り扱がされます。

 

たとえ名称が「住宅手当」であっても、

ここでいう住宅手当の定義に該当しない場合は、

割増賃金計算から除外できないということです。  

 

つまり、下記の様な「家族手当」は、割増賃金計算から除外することができません!

 

 × 住宅の形態ごとに一律に定額支給される

   例:持家居住者は○万円、賃貸住宅居住者は△万円 など

× 住宅以外の要素に応じて定率または定額で支給される

   例:扶養家族がいる場合○万円、いない場合△万円 など

× 全員一律に定額で支給される

 

賃金D(通勤手当)

(通勤手当)

28    通勤手当は、月額○円までの範囲内において、通勤に要する実費に相当する額を支給する。

 

 

チェックポイント

【「通勤手当」のおさえどころ】

「通勤手当」のおさえどころも「家族手当」「住宅手当」と同じです。

あわせて確認してください。

 

@法律上の支払いが義務づけられていないこと

就業規則などで支払うことを決めた場合は「賃金」として支払う必要があります。

 

A通常、割増賃金の算定から除外されます。

ひらめきここでいう、除外可能な「通勤手当」とは

 「労働者の通勤距離または通勤に要する実際費用に応じて算定される手当

 をいいます。

 

よって次のようなケースは除外できません

 × 全員一律額を支給する

 × 「“一定額”までは距離に関わらず支給する」ケースの“一定額”部分

  

 

また、通勤手当は一定の限度額まで非課税になります。

電車やバスなどの公共交通機関を利用する場合は1ヶ月10万円、

マイカー通勤等の場合は片道の通勤距離によって異なります。

賃金E(役職手当と固定残業代)

(役職手当)

29    役付手当は、次の職位にある者に対し支給する。        

@  店長                                         月額○円        

A  副店長                                       月額○円        

B  課長                                         月額○円        

C  主人                                         月額○円

 

 

チェックポイント

【「手当」をおさえるための2つのキーワード】

“役職者”に対して支給される「役職手当」、「役付手当」など

(以下「役職手当」とします)の手当。

取り扱いにおいて、誤解・勘違いの多い手当でもあります。

役職手当は次の2つのキーワードをおさえていきましょう。

 

@「固定残業代

A「管理監督者

 

今回は@の「固定残業代」についてです。

(A管理監督者についてはこちら) 

 

 

【その役職手当、残業代を含んでいますか?】

◆勘違いその1:

「課長以上の役職者には残業(代)がつかない」と思っていませんか?

A1:

残業代を支払う必要がない「管理監督者」については別途まとめますが、

その範囲は非常に狭く、課長はおろか、店長すらもこの

「管理監督者」には該当しないケースが多いというのが実態です。

 

◆勘違いその2:

「残業代の代わりが役職手当なんだ」と思っていませんか?

A2:

この勘違いをしている場合、致命的なリスクを抱えている可能性があります。

【リスク1】

大前提として、そのままでは「役職手当」は残業代の代わりになりません

サンプル規定のような取扱い(条文)では

あくまでも役職(職位)に対する手当になっていて、

「残業代の代わりなんですよ」ということが書いていないからです。

つまり、このままでは“残業代未払い”ということになってしまいます。

【リスク2】

役職手当は「割増賃金の算定対象」の手当です。

誤って“役職手当=残業代”と考えていた場合、

当然この役職手当自体を割増賃金の計算に入れていない、ということが考えられます。

つまり、【リスク1】で発覚した未払い残業代を正しく再計算しなくてはならなくなった時、

奇しくもこの役職手当を含めて残業代の単価計算がされてしまうのです。

当然、支払うべき金額も増えることになります。

まさに、会社としては“二重苦”ということになりかねません!

 

 

【固定残業代とは?】

通常、残業代は実際に行った残業時間に応じて計算・支払いが行われます。

これに対して、毎月その残業代を固定して支給する方法があります。

これが一般的に「固定残業代」といわれるものです。

 

 

【固定残業代の特徴】

わかりやすい点はやはり、毎月の残業代支給額のばらつきが“少なく”なることでしょう。

ただし、

「何時間残業しても固定残業代を支払っているから大丈夫」

「残業時間の集計をしなくてもいいから楽チン」

「一度決めたら金額の見直しがなくて便利」

と考えての導入はちょっと待って!

 

ひらめき固定残業代制では

・事前に、固定残業代の対象となる残業時間数の設定が必要!

・残業時間の集計は必要!

・対象残業時間数を超えた分については、別途割増賃金の支払いが必要!

 (対象時間に満たなくても、固定残業代を減額することはできません!)

・給与改定ごとに固定残業代の見直し(再計算)が必要!

です。

 

通常の役職手当のように「一度決めたらずっとそのまま」というような

お手軽便利な制度ではありません。

 

 

【固定残業代を導入する時のポイント】

役職手当を固定残業代(の一部)として扱う場合、

 

@就業規則に次のことを明記しておきましょう

・「役職手当」に時間外(または深夜・休日)労働割増賃金分を含むこと。

・何時間分の残業(時間外、深夜、休日労働)を対象とするのか。

・役職手当として支払ったものを残業代として(二重に)支払わないこと。

 

A個別に「固定残業代」を正しく算出しましょう

 算出の仕方はまた別の機会に・・・。

管理監督者

チェックポイント

【「管理監督者」ってどんな人?】

労働基準法第41条には、残業代支払いについての特例が定められています。

労働時間、休憩、休日を本人の自主性において管理させる「管理監督者」の制度です。

ですから、時間外・休日労働の手続きや割増賃金の規定が適用されません

(適用除外といわれることもあります)。

 

ある意味すごい特例です。

残業代支払いは会社にとって大きな負担。

それを回避(?)することができる「管理監督者」って、どんな人なんでしょうか。

 

管理監督者は、名前だけ部長、課長という、いかにも「管理職」という

肩書きがあるからといって認められるものではありません。

一定の要件を満たしている必要があります。

 

・一般の社員を管理監督する、人事権などを含む重要な職務と権限が与えられている

・タイムカードなど時間に縛られるのではなく自分の裁量で働ける環境が整えられている

・役職手当など賃金面であきらかに優遇されている

などから、総合的に判断されます。

 

ひらめき一般的には部長、課長がその地位にあたると認識されがちですが、

実態が以上のような条件「経営者と一体的な立場」

満たしていないと管理監督者として認められません。

 

 

【管理監督者に関する注意点】

このように管理監督者は、通常の社員とは違った扱いができます。

そのため社員に積極的に役職名をつけて、

管理監督者としている会社も少なくありません。

しかし、管理監督者は名称で決まるのではなく、実態で決まります。

名前だけ管理監督者として残業代を支払っていないと、

労働基準監督署の調査で必ず是正勧告が出されるので注意しましょう。

「マクドナルドの店長は管理監督者ではない!」

という裁判・報道でも話題になりましたね。

 

また、全てが自己管理(適用除外)となっているわけではなく

・深夜業に関する労働時間や割増賃金

・年次有給休暇

・年少者、妊産婦の深夜業禁止

については一般の社員と同じ取り扱い(適用除外されていない)ので注意が必要です。

賃金F(営業手当)

チェックポイント

【営業手当に残業代は含まれる?】

サンプル規程には登場しなかった「営業手当」。

営業職の社員に対して、「残業代含めた手当」として支給していませんか?

 

ひらめき「営業手当」も「役職手当」同様、

そのままでは残業代のかわりにはなりません。

営業手当に割増賃金を含む場合、

その旨を明確にしておく必要があります。

(「役職手当と固定残業代」はこちら)

 

営業手当の“一部”を固定残業代とする事もできますが、

全部であれ一部であれ、

実際に発生した割増賃金が固定残業代を超えた場合には、

その不足を支払わなくてはならないことも役職手当のところと同じです。

賃金G(年俸制)

チェックポイント

【年俸制は残業代いらず?】

サンプル規程には記載ありませんが、

「年俸制」についても少し触れておきましょう。

1年単位で給与額を決定する制度ですね。

当然、支払いは1年に1回というわけにはいきませんが。

賃金支払いの5原則を参照)

 

ところで・・・

 

年俸制を導入していれば、

1年間トータルの賃金お約束をしているのだから

残業代(割増賃金)の支払いは必要ない

 

・・・そうお考えではないですか?

 

しかし、これは大きな誤解!

 

ひらめき管理監督者などの本来「残業代支払い対象外」の人を除き、

年俸制だからといって残業代が不要になることはありません

 

年俸制は賃金の決め方が「1年単位」というだけであって、

月給制や日給制と取り扱いが異なるものではありません。

 

 

【注意が必要な「年俸制割増賃金の計算」】

もうひとつ、年俸制導入時の割増賃金に関する注意点として、

「年間で支払いが決められている支給額が割増賃金の計算に含まれる」

ということがあげられます。

 

年俸制の場合、年額を16等分し、

毎月支給分(12ヶ月)、賞与分(夏×2、冬×2)

というように支給している事もあるかと思います。

 

ひらめきこの支給方法自体には問題ありませんが、

割増賃金を計算する時は毎月支払われる16分の1をベースにするのではなく、

ここでいう賞与分も含めた年額の12分の1をベースにしなくてはなりません。

 

「賞与は割増賃金の計算から除かれる」のが原則ですが、

この計算から除外される賞与は“臨時に支払われるもの”であることが条件です。

年俸制契約によって“支払われる金額が決まっている”ものは、

臨時に支払われるものとして取り扱われることはないのです。

 

年俸制については、この点注意してください。

賃金H(技能・資格手当)

(技能・資格手当)

30    技能・資格手当は、次の資格を持ち、その職務に就く者に対し、支給する。

@  安全・衛生管理者(安全衛生推進者を含む。)  月額○円 
A  防火管理者                                 月額○円 
B  建築物環境衛生管理技術者              月額○円 
C  ボイラー技師                               月額○円 
D  電気主任技術者                           月額○円 
E  食品衛生責任者                           月額○円        
F  販売士                                      月額○円        
G  調理師                                      月額○円        
H  栄養士                                      月額○円 

 

チェックポイント

【一定の資格を持つ人への支給】

業務によっては、一定の資格保持を必要とするものもあります。

また、現在在籍している社員のスキルUP推奨としての役割もあります。

 

資格保持者の確保(優遇)やスキルUP推奨を掲げる会社の場合、

技能・資格手当を設ける検討をしてもよいでしょう。

 

もちろん、無理に設ける必要はありません。

会社で決めて、就業規則に記載をしておきましょう。 

 

また、この技能・資格手当は割増賃金計算から除外できません

賃金I(皆勤手当)

(皆勤手当)

31 

  皆勤手当は、当該賃金計算期間において無欠勤の場合に、月額○円を支給する。この場合において、年次有給休暇を取得したときは、出勤したものとみなす。

  第1項の皆勤手当の計算に当たっては、遅刻又は早退3回をもって欠勤1日とみなす。

 

 

チェックポイント

【皆勤手当は“臨時の支払い”?】

1ヶ月(3ヶ月等の場合もあります)の「出勤状況」が良好な社員に支給される手当です。

大きな目的は社員の遅刻・早退・欠勤の予防ですね。

「皆勤手当」の他に、

「精勤手当」「精皆勤手当」などの手当名であることもあります。

(以降、「皆勤手当」とします)

 

「皆勤手当」はサンプル条文にもあるとおり、

「欠勤、もしくは遅刻・早退など勤怠不良がある場合には支給しません」

というもの。

 

ここで問題になってくるのが

「支払われないことがあるなら、皆勤手当は“臨時の支払い”なのか?」

ということです。

 

“臨時に支払われる手当”という扱いであれば、

割増賃金の計算には算入しなくてよいわけですから、

ここは重要です。

 

ひらめき結論から言うと、

皆勤手当は割増賃金の計算に算入しなくてはなりません

“臨時に支払われる手当”とはみなされません。

 

皆勤手当の勤怠不良による不支給は会社が決めた「支払い方」の問題であり、

皆勤手当自体は決して“臨時に”支払われているわけではないからです。

 

 

【基本給から「遅刻早退3回=1日分」の控除ができるか?】

もう一点、注意しておきたいのは、

通常の“基本給”に対して

「遅刻・早退3回につき、“1日分欠勤”として控除を行う」というルール

これはダメですからね!確認してください。

 

会社が社員に給与を支払うのは、

原則的に「働いた時間」に対してなので、

遅刻・早退・欠勤した時間分については当然給与を支払う義務はありません。

(これをノーワーク・ノーペイの原則と言います)

 

ですから、

1時間の遅刻×3回で「3時間分」の控除ならば問題ありませんが 、

この3回の遅刻に対して「1日分(「8時間分」)」の控除をしてしまったのでは

5時間分“引き過ぎ”だということになります。

 

「勤怠不良に対する懲戒なんだから問題ないだろう!」

とお思いになるかもしれませんが、

懲戒は懲戒でまた別物ですし、

減給の仕方にも法律上のルールがあります。

 

どうしても「遅刻早退3回につき、1日分の控除を行う」という対応を取りたい場合には、

基本給からの控除ではなく、

皆勤手当などを利用して就業改善を行っていった方が良いでしょう。

 

割増賃金@(割増賃金計算から除外できる手当)

(割増賃金)

32    割増賃金は、次の算式により計算して支給する。

@  時間外労働割増賃金(所定労働時間を超えて労働させた場合)

   基本給+役職手当+皆勤手当+技能・資格手当 ×1.25×時間外労働時間数
      
1か月平均所定労働時間数

A  休日労働割増賃金(所定の休日に労働させた場合)

   基本給+役職手当+皆勤手当+技能・資格手当 ×1.35×休日労働時間数
      
1か月平均所定労働時間数 

B  深夜労働割増賃金(午後10時から午前5時までの間に労働させた場合)

  基本給+役職手当+皆勤手当+技能・資格手当  ×0.25×深夜労働時間数
      
1か月平均所定労働時間数 

 

  前項の「1か月平均所定労働時間数」は、次の算式により計算する。

        365−年間所定休日日数)   ×1日の所定労働時間数

                    12

 

 

チェックポイント

【割増賃金の計算方法は法律で決まっています!】

どのサンプル規程でも、就業規則・賃金規程には、

この様な計算式が記載されている場合が多いのではないでしょうか。

 

そして、それを見ると

この計算式の中に含まれている手当を変更したい(計算から外したい)と思われるのではないかと思います。

 

しかし、労働基準法施行規則第21条において、

ひらめき割増賃金の算定の基礎に含めなくてもよい手当は

次にあげる7つの手当に「限定的に」決められています。

@家族手当、A通勤手当、B別居手当、C子女教育手当、D住宅手当、

E臨時に支払われた賃金、F1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

 

これは「例示的に」あげられているものでありませんので、

“ココに記載がないものは、全て割増賃金計算に算入しなくてはいけない”

ということになります。

 

たとえ就業規則に定めても、

ココに記載がない手当を会社の判断で割増賃金計算から除外することはできません。

 

なお、ここに挙げられているのは

割増賃金の計算から「除外することができる」手当であり、

会社として「割増賃金の計算から除外しない(計算に含む)」とすることは当然できます。

その場合も就業規則(賃金規程)に明確に記載しておきましょう。

 

 

【割増賃金計算から除外される手当〜運用上の留意点】

上記の賃金は名称の如何を問わず「実質的に」判断されますので注意してください。

 

@「家族手当」と称していても、扶養家族の数に関係なく支給されていれば、上記の除外賃金には該当せず、割増賃金の計算の基礎となる賃金に算入しなければなりません。

 

A「住宅手当」については、住宅の形態ごとに一律に定額で支給することとされているものは、上記の割増賃金の算定の基礎に含めなくてもよい賃金には該当しません。

 

割増賃金A(割増率)

チェックポイント

【割増賃金計算の割増率】

 

割増賃金の支払いが必要な場合、

下記の割増率による計算をしなくてはなりません。

 

ひらめき<原則>

@時間外労働(法定8時間を超える労働)→2割5分以上

A深夜労働(午後10時〜午前5時の労働)→2割5分以上

B休日労働(法定4週4日の休日の労働)→3割5分以上

 

ひらめき<上記@〜Bの重複>

C時間外労働&深夜労働 →5割以上

D休日労働&深夜労働 →6割以上

E休日労働&時間外労働 →3割5分以上

  

Eを見て、

「あれ、“6割(2割5分+3割5分)以上”じゃないの?」

と思われた方もいるかもしれませんね。

 

休日労働はそもそも“それ自体が法定の枠を超えた労働”です。

ですから、「時間外」労働の問題は起こらないとされています。

よって、休日に(法定)8時間を超える労働をしても、

3割5分増の計算で問題ありません。

※深夜に渡った場合はDが適用になります。

 

 

【平成2241日法改正】

平成2241日の労働基準法改正で、

ひらめき60時間以上の時間外労働をさせた場合には

次のように取り扱うことが定められました。

なお、後にも記載しますが、

中小企業事業主には暫くの間この改正の適用されません

 

@ 使用者が、1か月に「60時間」を超えて時間外労働をさせた場合は、

その超えた時間の労働について、

通常の労働時間の賃金の計算額の5割以上の率で

計算した割増賃金を支払わなければなりません。 

<改正前>

時間外労働――――――――――→ 月60時間超―――――――→
       一律で25%(月60時間を 超える部分も25%)
 <改正後>
時間外労働――――――――――→ 月60時間超―――――――→
月60時間までの部分…25% 月60時間を超える部分…50%
  

A 使用者が、労使協定により、

上記@の割増賃金を支払うべき労働者に対して、

改正法による引上げ分(25%から50%に引き上げた差の25%分)の

割増賃金の支払に代えて

通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(年次有給休暇を除く)

厚生労働省令が定めるところで与えるとし

その労働者その休暇を取得した場合は、

上記@の割増賃金を支払う必要はありません。

  

つまり、月60時間を超える時間外労働について、

「@ 割増率のUP」 又は 「A 割増率UP分相当の休暇」

いずれかの対応をしなくてはならないということですね。

 

ただし、この「A 休暇」への代替ができるのは

月60時間超過分の改正法による引き上げ分25%についてだけであって、

労働者がこの休暇を取得した場合でも、

現行の25%の割増賃金の支払は必要です。

 

 

【中小企業の事業主についての暫定措置】

次のいずれかに該当する事業主(中小事業主)ついては、

当分の間、この改正規定は適用されません。

※中小事業主に該当するか否かは事業所単位ではなく会社単位で判断されます

業 種 資本金の額または出資の総額 常時使用する労働者の数
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
上記以外 3億円以下 300人以下

 

 

 

割増賃金B(割増賃金計算における端数処理)

チェックポイント

【勝手にできない「端数処理」】

割増賃金計算をする時に併せて注意が必要なのが「端数処理」。

複雑な割増賃金計算、少しでも楽に進めたいところですが、

これについても、会社にとって都合のよい、極端な簡略計算はできません。

“労働者にとって不利になる対応は原則違反になる”

という前提(原則)をイメージしながら確認してください。

 

 

【「時間数」の端数処理】

時間外労働等を含め、

労働時間は本来「分単位」での管理、これが原則です。

 

ひらめきしかし、

割増賃金計算のおける時間外労働等の集計においては一部例外があります。

それは、

 

1ヶ月(賃金支払い計算期間)における時間外労働等の時間数の合計に

30分未満の端数があった場合、これを切り捨て

30分以上の端数があった場合、これを1時間に切り上げ

 

という方法。

この場合、労働基準法違反にはならないとされています(昭和63年通達より)

 

逆に言うと、

日々(1日)の時間外労働等について同じ対応(30分単位での調整)をするのは

(切り上げの場合はともかく)切り捨てについては認められません

  

 

また「1か月平均所定労働時間数」の計算においても(こちらを参照

端数が生じる場合がありますが、

この端数を切り上げてしまうと

割増賃金計算における<分母>にあたるので割増賃金単価が減少してしまうので、

端数をそのままにして計算するか、切り捨てて計算を行う必要があります

 

 

【「賃金額」の端数処理】

ひらめき賃金額の端数処理(1円未満の端数が生じたとき)については、

次のケースについては「労働基準法違反として取り扱わない」とされています。

(昭和63年通達)

 

○通常の労働時間の賃金1時間あたりの金額およびその割増賃金額(1時間当たりの金額に割増率をかけたもの)

一賃金計算期間における割増賃金の総額

 

について端数が生じた場合、

50銭未満の端数は切り捨て、

50銭以上1円未満は1円に切り上げ

として処理すること

 

賃金J(休暇等の賃金)

(休暇等の賃金)第33 

  年次有給休暇の期間は、所定労働時間労働したときに支払われる通常の賃金を支給する。        

  産前産後の休業期間、母性健康管理のための休暇、育児・介護休業法に基づく育児休業及び介護休業の期間、育児時間、生理日の休暇の期間は、無給とする。        

  慶弔休暇の期間は、第1項の賃金を支給する。        

  第9条に定める休職期間中は、原則として賃金を支給しない(○か月までは○割を支給する。)。

 

 

チェックポイント

【有給か無給か、明確にしておこう!】

休暇等の中には

年次有給休暇のように「必ず有給」でなければいけないものと、

「有給か無給か会社が決められる」ものがあります。

(※年次有給休暇中の“賃金の決め方”

対象者が出てからあわてることがないように、事前にルールを決めておきましょう。

 

ひらめきまた、賃金を支払うことによって

健康保険や雇用保険などからの給付が行われなく

(または減額されることに)なってしまうことがあるので、

注意が必要です。

 

<参考>

下記は主な休職・休業時の給付です。

いずれも、支給を受けるには役所への「申請」が必要です!

(当然、各保険に加入している事が大前提となります)

  

【出産手当金】(健康保険)

健康保険の被保険者(任意継続被保険者を含む)が、出産の日以前42日から出産の日後56日までの間に、給与が支給されなかった場合に支給されます。出産日が出産予定日より遅れた場合、その分も出産手当金は支給されます。

出産手当金は、1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額が支給されます。会社を休んだ期間について、事業主から報酬を受けられる場合は、その報酬の額を控除した額が出産手当金として支給されます。

 

【傷病手当金】(健康保険)

傷病手当金は、被保険者が病気やけがのために働くことができず、会社を休んだ日が連続して3日間あったうえで、4日目以降、休んだ日に対して支給されます。 ただし、休んだ期間について事業主から傷病手当金の額より多い報酬額の支給を受けた場合には、傷病手当金は支給されません。

支給額は、病気やけがで休んだ期間、一日につき、標準報酬日額の3分の2に相当する額です。

  

【育児休業給付金】(雇用保険)

育児休業給付は、一般被保険者が1歳(支給対象期間の延長に該当する場合は1歳6か月)未満の子を養育するために育児休業を取得した場合に、休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数11日以上ある月が12か月以上あれば、受給資格の確認を受けることができます。

※過去に基本手当(失業保険)の受給資格決定を受けたことがある方については、その後のものに限ります。

また、育児休業期間中の各1か月毎に、休業開始前の1か月当たりの賃金の8割以上の賃金の支給を受けた場合や、休業している日数が各支給対象期間ごとに20日未満の場合(ただし、休業終了日が含まれる支給対象期間は、休業日が1日でもあれば可)には支給されません。

支給額は、支給対象期間(1か月)当たり、原則として

休業開始時賃金日額×支給日数の40%(当分の間は50%)相当額となっています。

 

【介護休業給付金】(雇用保険)

介護休業給付金は、介護休業について支給対象となる家族の同一要介護につき1回の介護休業期間(ただし、介護休業開始日から最長3か月間)に限り支給されます。(複数回支給のケースもあり)

介護休業の対象者となる家族のいずれかが、常時介護を必要とする状態にあるため、期間の初日及び末日とする日を明らかにして事業主に申し出を行い、被保険者が実際に介護休業を取得したことが条件となります。

なお、被保険者期間の要件や受給額は育児休業給付金と同じ考え方です。

 

※「育児休業・介護休業の対象者と適用範囲

賃金K(欠勤等、不就労分賃金カットの扱い)

(欠勤等の扱い)34   

欠勤、遅刻、早退及び私用外出の時間については、1時間当たりの賃金額に欠勤、遅刻、早退及び私用外出の合計時間数を乗じた額を差し引くものとする。

 

 

チェックポイント

【控除の仕方はしっかりと確認!】

皆勤手当のところでも触れましたが、

働いた分、賃金を支払うとういうノーワークノーペイの原則から、

「遅刻3回で1日欠勤扱いとして、1日分の賃金を控除する」

とすることはできません。

 

実際の不就労時間以上の控除は懲戒処分「減給の制裁」にあたります。

減給をするためにはその根拠(就業規則等でのルール決め)が必要。

さらに、減給することができる範囲(金額)は

労働基準法(第91条)で決まっていますので

注意しましょう。

 

 

【控除したら給与がマイナスに!?】

欠勤・遅刻・早退について、単純に「控除」するのみの規定の場合は

不具合がないか確認しましょう。

 

ひらめき特に、その計算式に「1年間の平均所定労働日数」を使っている場合は要注意。

この計算方法で不就労分すべて控除するルールだと

・その年はどの月も“1日あたりの給与額”は一定

・毎月の出勤すべき日数(所定労働日数)は異なる

ことから、「その月の欠勤日数」と「その月の所定労働日数」によって、

1ヶ月全て休んだのに給与が“プラス”になってしまったり、逆に、

1日出勤したにも関わらず給与が“マイナス”になってしまったりするんです

 

・所定労働日数を使った計算方法 や、

・欠勤3日(24時間)までは“不就労分を控除”、4日以上は“就労分を支払い” のように切り替える方法

を検討することをお勧めします。

賃金L(賃金からの控除できるもの)

(賃金の計算期間及び支払日)第35 

  賃金は、毎月末日に締切り、翌月○日に支払う。ただし、支払日が休日に当たるときは、その前日に繰り上げて支払う。

  計算期間の中途で採用され、又は退職した場合の賃金は、当該計算期間の所定労働日数を基準に日割計算して支払う。

 

(賃金の支払いと控除)第36   

賃金は、従業員に対し、通貨で直接その全額を支払う。ただし、次に掲げるものは、賃金から控除するものとする。         

@  源泉所得税         
A  住民税         
B  健康保険(介護保険を含む。)及び厚生年金保険の保険料の被保険者負担分         
C  雇用保険の保険料の被保険者負担分         
D  従業員代表との書面による協定により賃金から控除することとしたもの

 

 

チェックポイント

【賃金から控除できるものは決まっている!?】

一般に「天引き」と言われる控除項目、これにも一定のルールがあります。

 

大前提は「全額払いの原則」、つまり、

全部本人に払う=控除はできない

ということなんですね。

 

ただ、それだと労働者本人に不都合なものもあるので、

例外が認められています。

 

それが「法令で定められた項目」。

サンプル条文第36条の@〜Cの項目がこれに当たります。

 

これ以外の項目について賃金から控除をするためには「労使協定」が必要です。

賃金控除労使協定

サンプル条文第36条のDがこれに当たります。

 

なお、欠勤等による「不就労分の控除」については労使協定での定めは不要とされています。

 

金額の大小にかかわらず、

「法令で定められた項目」以外の控除を行う場合には労使協定での定めをしておきましょう。

賃金M(非常時払い)

(非常時払い)37   

従業員又はその収入によって生計を維持する者が、次のいずれかに該当し、その費用に当てるため、従業員から請求があったときは、その都度、そのときまでの労働に対する賃金を支払う。         

@  出産、疾病又は災害の場合         
A  結婚又は死亡の場合         
B  やむを得ない理由によって1週間以上帰郷する場合

 

 

チェックポイント

【「非常時払い」ってどんなもの?】

「非常時払い」とは、

労働者の出産、疾病、災害、その他急にお金が必要な「非常の場合」

に、会社は給料日前でも労働者の請求があれば、

既に働いた(既往の労働)分の給料を支払う必要がある

という、労働基準法第25条で定められたルールです。

 

ひらめきこの「非常の場合」に該当するケースが(サンプル条文の@〜B)、

「労働基準法施行規則」第9条で定められています。

@労働者の収入によって生計を維持する者が出産し、疾病にかかり、又は災害をうけた場合
A労働者又はその収入によって生計を維持する者が結婚し、又は死亡した場合
B労働者又はその収入によって生計を維持する者がやむを得ない事由により一週間以上にわたって帰郷する場合

 

 

【運用のポイント】

@疾病・災害とは、業務上であるか、業務外であるかを問いません。

A対象になるのは「既に働いた分」なので、実際に働いていない分の賃金まで支払う義務はありません。(ノーワーク・ノーペイの考え方)

B「非常時」とされるのは本人イレギュラー時だけではなく、その労働者に生計を維持されている家族のイレギュラー時も含まれます。

賃金N(昇給→給与改定)

(昇  給)第38 

  昇給は、毎年○月○日をもって、基本給について行うものとする。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合には、この限りではない。

  昇給額は、従業員の勤務成績等を考慮して各人ごとに決定する。

 

 

チェックポイント

【この表現方法は必ずチェックしておこう!】

サンプル条文では非常によく見る「昇給」の項目。

 

昇給に関する事項は、

雇用契約時に「書面で示す」必要がありますし、

就業規則において必ず定めなければいけない事項なので

記載すること自体大切なことですが、

それだけでは大きな“爆弾”になってしまいます。

法律で決められた「昇給」の項目、何が爆弾なのでしょうか? 

 

それは、このサンプル条文では

「昇給=賃金“UP”しか想定されていない」ということです。 

 

経済状況も含め、「昇給(または据え置き)」だけでなく、

会社を守るために社員の「賃金を下げる」ことが必要になることもあります。

賃金を下げるために必要な手段で行う事は前提ですが、

そもそも就業規則で“賃金を下げることがある”というルールがない状態で

賃金を下げるという行為は、

会社が社員との「約束」を守らなかった(約束していないことを行った)

ということに他なりません。

 

 ひらめき「昇給」ではなく、「給与改定」など賃金が下がることも想定した表現にしておきましょう。 

 

 

ただし、決して“この記載があれば賃金引き下げは万事OK”ということではありません。

当然、賃金を下げる合理的な理由が必要ですし、

本人には事前に「給与改定通知書」などでその内容を確認しておく必要があります。

会社が契約相手(社員)の承諾なく、

一方的に変更することができるわけではありません

 

賞与

(賞  与)第39 

  賞与は、原則として毎年○月○日及び○月○日に在籍する従業員に対し、会社の業績等を勘案して○月○日及び○月○日に支給する。ただし、会社の業績の著しい低下その他やむを得ない事由がある場合には、支給時期を延長し、又は支給しないことがある。

  前項の賞与の額は、会社の業績及び従業員の勤務成績等を考慮して各人ごとに決定する。

 

 

チェックポイント

【ポイントは「会社の状況」と「支給対象者」】

賞与(ボーナス)は労働基準法で支給が義務付けられているものではありません。

つまり、「会社のルール=就業規則」での定めが非常に重要になってきます。

 

法律上の定めがなくても、

“会社のルール”とした場合にはその支給が「義務」となるからです。

 

ここで、ポイントになるのが「会社の状況」と「支給対象者」です。

 

 

【会社の状況によっては「払えない」ことだってある!】

ここにあげたサンプル規定では記載されていますが、

まれに「支給しないことがある」という文言が含まれていないケースがあります。

これが記載されていないということは「賞与は必ず支払う」ということに!

 

賞与は本来、会社に利益が出ているから支払えるもの。

賞与が会社の経営を圧迫してしまったのでは本末転倒ですよね。

ですから、

ひらめき会社の状況によっては「支払わないことがある」

ということを事前しっかりと明記しておく必要があるわけです。

あなたの会社の規定は大丈夫ですか?

 

 

【賞与の役割ってなんでしょう?】

一般的に、賞与は

「対象期間の会社業績や本人の成績・勤怠状況」

を判断材料にしますが、

もう一つの考え方として「これからの会社への貢献期待度」、

つまり、

「これから(今季)も頼むぞ!」という期待値

も含まれているのではないでしょうか?

 

そう考えると、

ひらめき対象期間に在籍しているだけでなく、「支給日」に在籍していること

を明確にしておく必要があります。

 

では、(支給日において)既に退職が明確になっている社員に対して

「賞与額を減額する」という方法(就業規則に定める)は可能なのでしょうか?

 

これについては、

「絶対にダメということではないけれども、やはりやり過ぎはダメ!」

と考えておけばいいでしょう。

 

ちなみに、裁判例(東京地裁平成8年)として

年内退職予定者と非退職予定者について、

2割以上の差をつけることは公序良俗に反する

というものがあります。

 

減額幅の限界について、一つの目安と言えますね。