対象項目が非常に多いブロックです。

様々な価値観が存在する今の時代において、

ここでの記載内容が非常に重要であることは言うまでもありません。

ただの「常識一覧表」として見るのではなく、

ポイントをおさえて一つずつ確認しておきましょう。

第10条(服  務)

従業員は、職務上の責任を自覚し、誠実に職務を遂行するとともに、
会社の指示命令に従い、職場の秩序の維持に努めなければならない。

チェックポイント

【あなたの考える“常識”は万国共通ですか?】

従業員の様々な価値観が存在する今、非常に重要な意味を持つのが

この「服務規定」といわれるものです。

書いてある内容が、

会社から見れば「普通、当たり前」に感じるようなものであったり、

書いてある項目数が多いために、

「とりあえずこのままでいいや」

とそのまま放置されていまいがちです。

でも、

その「普通、当たり前」の判断基準が今は個人によって違うんだ

ということを肝に銘じておきましょう。

「当たり前」と思っていることだからこそ、あえて明確に規定しておく必要があるのです。

服務規律はかなりボリュームがあり、記載方法も会社によって異なりますが、

大きく「9つのポイント」で構成されています。

これらのポイントについて、漏れがないか確認しておきましょう。

①誠実労働義務

②職務専念義務

③風紀秩序の維持

④勤怠(欠勤・遅刻・早退等)

⑤セクシュアルハラスメント(セクハラ)の禁止

⑥会社施設・マイカー利用の許可制

⑦会社の信用や名誉の保持

⑧秘密保持義務

⑨兼業・競業規制

11条(遵守事項)

従業員は、次の事項を守らなければならない。

  勤務中は職務に専念し、みだりに勤務の場所を離れないこと

  許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用しないこと

  会社の金品を使用に供し、他より不当に金品を借用し、又は職務に関連して自己の利益を図り、若しくは贈与を受けるなど不正な行為を行わないこと

  酒気をおびて就業するなど、従業員としてふさわしくない行為をしないこと

⑤会社、取引先等の機密を漏らさないこと

  許可なく他の会社等の業務に従事しないこと

  その他会社の内外を問わず、会社の名誉又は信用を傷つける行為をしないこと

チェックポイント

【従業員は仕事さえしていればいいのでしょうか?】

「雇用契約」によって従業員が約束する、メインの義務は

会社の指示に従って労務に従事する(労働力を提供する)こと”です。

しかし、ただ“働けばいい”ってことではないわけです。

会社からは従業員に対して、様々な「指示・命令」が出されます。

「いつまでに、この書類を完成させてくれ」というように

上司からの具体的な労働に関する指示もありますが、

それ以外にも業務に付随する指示、必要性がある指示というものが数多く存在します。

これは労働に関する指示だからやる、きく

これは直接自分の労働に関係していないのでやらない、きかない

こんなことでは業務運営をスムーズに行うことなんてできません。

「雇用契約書に書いていないから、あなたの落とした消しゴムは拾いません」

・・・なんとも悲しいです。

まあ、落とした消しゴムの例は別として、

会社には少なくとも業務上の必要性に基づく業務命令を行う権利があり、

従業員には企業秩序を守る義務があるといえそうです。

実際に、最高裁でもこうした判断がされています。

行き過ぎたケースは別ですが、

ここは会社有利。

ただ、やはりこの権利・義務を主張する“根拠”があると、がぜん強い。

「そんなこと聞いていませんでした」

なんて言われたら、いろんな意味で悲しいじゃないですか。

ちなみに、今回取り上げているサンプル規程では

この点は触れられていませんね。

是非追加しておきたいところです。

従業員は、次の事項を守らなければならない。

  勤務中は職務に専念し、みだりに勤務の場所を離れないこと

チェックポイント

【実害があった時だけ職務専念義務違反になるの?】

いうまでもなく、

勤務時間中は仕事に専念してもらわなければ困ります。

自由に喫茶店に行ってお茶をのんだり、ネットサーフィンしたり・・・

こんなのは論外です。

でも、それに近いことをする人はいるわけで、

こうしたことを防ぐために「職務専念義務」を規定として定めています。

では、この「専念」ってどれくらいのレベルをいうのでしょうか?

“勤務時間中は、一言たりとも仕事以外の話をしてはならない。したら即クビ。”

・・・そんなギスギス・ピリピリした会社にはお目にかかったことがありません。

会社によっては、「職務専念」をより具体的にまとめているケースもありますが、

ここはやりすぎるとキリがありません。

業務指示・命令に対する遵守」については

最低限の線引きとして追加しておきたいところです。

ちなみに、裁判でも、

この「職務専念義務」の程度について争われたことは何度もありますが、

判決では「実害の有無」をポイントに判断がわかれています。

A:「会社に実害がなければ、職務専念義務違反にはならない」

B:「会社に実害があろうがなかろうが、職務専念義務に違反する」

Aの判例は民間会社、Bの判例は旧電電公社におけるケースなので、

一概には比較できませんが、

現在の裁判ではBの傾向が強いようです。

「職務専念」というものを考える時の一つの目安になるかもしれません。

従業員は、次の事項を守らなければならない。

  会社の金品を私用に供し、他より不当に金品を借用し、又は職務に関連して自己の利益を図り、若しくは贈与を受けるなど不正な行為を行わないこと

  酒気をおびて就業するなど、従業員としてふさわしくない行為をしないこと

チェックポイント

【職場の風紀、その基準は?】

サンプル規程を流用している場合、

・職務に関連した贈与

・社員間での金銭貸借や物品販売

・就業中の服装や身だしなみ

などについて、

“自社にとっての風紀ルール”として成り立っているか確認が必要です。

このサンプル条文では、

「社員間の金銭貸借や物品販売」、「就業中の服装や身だしなみ」

などについて、記載がありませんので注意。

特に、「服装・身だしなみ」は個人の価値観が大きく反映される傾向があります。

バンクーバー冬季オリンピックでも、選手の「服装」について一騒動あったのを

覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

最低限の規定を設けておくことは大前提として、

特に服装・身だしなみについて

「より具体的・明確な決めごと」が会社にある場合は

(靴の色、制服の有無、髪の色や長さ、等)

そういう部分こそ、就業規則にしっかりと規定しておく必要があります

そして、入社前にしっかり本人と確認しておきましょう。 

【飲酒運転に関する規定は必須】

飲酒して就業されるのは当然困りますが、

飲酒に関連して「飲酒運転」に関する規定も考慮しましょう。

2007年の道交法改正によって、

飲酒運転者本人だけではなく、

・飲酒運転をするおそれがある者への車両または酒類の提供をした者

・その者に同乗しまたは運送を要求した者

も、個別に処罰されることになりました。

飲酒運転に対する刑罰も従来より重いものになっています。

また、事故を起こした運転者に使用者がある場合、

会社は使用者責任を問われ、

連帯して賠償責任に服するのが通例です。

自動車の使用者等が運転者に飲酒運転を命令または容認して

運転者が飲酒運転をした場合も同じです。

従業員の飲酒運転について、会社は知らんぷりできません。

社用車にとどまらず、

自社の従業員が飲酒運転による事故を起こしてしまうと、

会社の信用に大きな影響を与えます

日頃の注意喚起や教育も行いながら、

就業規則にもしっかり規定しておきましょう。

チェックポイント 

【入退場、出退勤のルールは決めておく】

勤怠については「労働時間」の場所でも触れますが、

どういう時に、何をしなくてはいけないか

文章化しておきましょう。

特に、欠勤・遅刻・早退等の「不就労」については、

その頻度が高いことからも、注意が必要です。

【届出さえ出せばOK?】

不就労について、「届出すること」だけを就業規則に記載している場合があります。

しかし、不就労の「理由」によっては、届出するだけでは不十分ですよね。

ここは当然、

「承認をえること」までを必須条件にしておきましょう

【届出は事前に限る?】

原則はやはり「事前申請」です。

しかし、実際には当日の朝に体調が悪くて欠勤(遅刻)する場合など、

やむを得ず事前に届出用紙を提出できないこともありますので、

そのような場合には「事後申請」を認める規定もおいておきましょう。

ただし、「早退」の「事後申請」は(その段階で既に会社にいるわけですから)

その性質上外しておいた方がいいでしょうね。

【無断欠勤とは?】

懲戒規定の部分などでも登場する「無断欠勤」というキーワード。

一般的には「届出をせずに」欠勤することを指しますが、

これでは「届出さえ出していれば無断欠勤にならない」とも解釈されかねません。

届出をしていても、その理由が正当でない場合は「無断欠勤」に該当する

ということも定義しておきましょう。

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プロフィール

神奈川県座間市の社会保険労務士、岡本豪です。前職は「スーパーの魚屋」!
約10年の間、日々お客様と向き合う接客の現場や部門マネージャーを経験。
そこで身に付けた「強いチームの作り方・育て方」と
社会保険労務士の「法律知識」との合わせ技で
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