サンプル規程「総則」のチェックポイント

総則は就業規則全体にかかわる事項が盛りだくさん。

ここでのあいまいさは全体に影響してしまいます。

特に「用語の定義」を明確にしておくことが大きなポイントです。

 

目的

適用の範囲

規則の遵守 

目的

第1条 (目  的)

  この就業規則(以下「規則という。」は、○○会社(以下「会社」という。)の従業員の労働条件、服務規律、その他の就業に関する事項を定めたものである。

  この規則に定めのない事項については、労働基準法その他の法令の定めるところによる。

 

チェックポイント

【“法令の定めるところ”って何ですか?】

よくみかけるサンプル条文ですが、

本当に「法令に定めるところ」と銘打って大丈夫ですか?

確かに、いくら「就業規則は会社で決めることができる」とは言っても

法令に反する規定を置くことはできませんし、

最低限従わなくてはならないルールというものもあります。

これは前提です。

 

、、、で・す・が、 

 

就業規則はあくまでも「会社のルールブック」なのですから、

あえて“法令にあること全部やります宣言”をしなくてもいいわけです。

 

ひらめき法令の中には

「努力規定(できるだけがんばりましょう!というもの)」、

その実現を“期待する趣旨”のものもあるんですよ! 

 

新しい法律がどんどんできています。

法改正もどんどんされています。

それら全て、「会社のルールとして」把握しておくことができますか?

 

日頃、「法律、法律、ってウルせ〜な〜」と言って(思って)おきながら

サンプル規程をなんとなくそのまま使っていることによって、

結果的に

「ウチの会社は法令にあること全部やります宣言」

しちゃっていませんか?   

適用範囲

第2条 (適用範囲)

 この規則は、第2章で定める手続きにより採用された従業員に適用する。ただし、パートタイマー、アルバイト及び嘱託社員の就業に関し必要な事項については、別に定めるところによる。

 

 

チェックポイント

【“あなたは一体何者か”が明確ですか?】

正社員と、パートタイマー、アルバイト、臨時社員、嘱託社員などについて、

それぞれ労働条件を区別する場合に必ず必要となる条項です。

 

正社員とパートタイマーとで労働条件が異なる場合

(例えば、「正社員には退職金が支給されるが、パートタイマーには退職金を支給しない」というケース)

であれば、その条件を定めた規定が必要となります。

 

サンプル規程を使う場合、

自社の実態とよく見比べて、追加・削除をしておきましょう。

将来的に発生することが明らかな場合は別ですが、

実際に対象者が存在しない従業員群を

就業規則に入れておくのはトラブルの元です。

 

ひらめき特に

○「契約社員」、「パートタイマー」という表現、

○単に「社員」という表現

(捉え方によって「従業員全体」にも「正社員のみ」にも解釈する事ができてしまいます)

など、同じ言葉でも会社によってそれぞれ該当する人が異なることがあります。

「自社ではどういう人がどの従業員群に該当するのか」

という定義を明確にしておきましょう。

 

 

なお、文末の「別に定めるところによる」という表現は、

“ウチの会社は「パートタイマー就業規則」等を別規程として作成していますよ〜”

ということを意味しています。

正社員とパートタイマー等を雇用管理上区別する場合は、

正社員用の就業規則の他に「パートタイマー就業規則」を作成しましょう。

規則の遵守

第3条 (規則の遵守)

 会社及び従業員は、ともにこの規則を守り、相協力して社業の発展に努めなければならない。

 

チェックポイント

【就業規則を守るのは誰ですか?】

労働基準法では次のようなルールがあります。

労働基準法第2条(労働条件の決定)
1 労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。
2 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、
 誠実に各々その義務を履行しなければならない。

 

労働条件は

雇用“契約”において「お互いに」決定し、「お互いに」守るもの

ですよね。

 

最近では“労働者の権利”が叫ばれることが目立ちますが、

中には“労働者の義務”を果たしていない

(労働者の側が約束を守っていない)ケースも増えてきています。

「お互いに」約束を守り、協力していくことが大前提であることを

会社も従業員も忘れてはいけません。

 

言いかえれば、どちらかがこの「約束」を破った時に、問題が起こっているのです。

 

 

さて、この条文、

就業規則本来の趣旨からすると規定(記載)する必要がありません。

 

本来、就業規則は円滑な企業運営のために会社が従業員のルールブックとして明示するものです。

(「就業規則=全従業員個別の契約内容」ではありません)。

 

当然、そのルールブック(規則)を遵守するのは「従業員(労働者)」ですよね。

 

ですから、その就業規則において「ともに規則を守り、相協力して」というのは、

少しニュアンスが違うわけです。

 

しかし、労働契約の一部として「お互いが約束する」ということを明確にすることは

信頼関係の証としては大きな意味を持ちます。

 

このような条文を記載する場合には、

そこまで考えたうえで「意識的に」この条文の趣旨を共有するようにしましょう。