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休日は労働者にとって重要な項目であるのはいうまでもありませんが、
会社側にとっても「割増賃金単価の計算」や「休日と休暇の違い」のように
おさえておくべきポイントがいくつかあります。
特に「振休と代休」については勘違いが非常に多いので要注意!
第14条(休日)
休日は、次のとおりとする。
① 土曜日
② 日曜日
③ 国民の祝日(日曜日と重なったときは翌日)
④ 年末年始(12月○日〜1月○日)
⑤ 夏季休日(○月○日〜○日)
⑥ その他会社が指定する日
【同じ休日出勤でも、割増賃金が違うことがある!?】
休日に出勤すると原則的には割増賃金が発生します。
ここまではほとんどの方が知っています。
そこで、次に
「同じ休日出勤でも、その割増率が違うことがあるので注意してください」
というお話しすると、「???」という方が出てきます。
労働基準法では、休日の付与方法は次のうちのいずれかとされています。
①原則:毎週少くとも1日
②変形休日制:4週間を通じ4日以上の休日
この休日を、法律で決められている最低限の休日なので
「法定休日」
といいます。
これに対して、それ以上に付与する休日については
「所定休日」(または「法定外休日」)
といいます。
(ここでは「所定休日」という表現を使います)
つまり、『週休2日制』の会社であれば、基本的には
1日が「法定休日」となり、もう1日は「所定休日」となるわけです。
「休日割増賃金は1.35倍(3割5分増し)だ」
という話を聞いたことがありませんか?
ここでいう「休日」というのは「法定休日」を指しています。
つまり、法定休日に働いた時だけ1.35倍の割増賃金の支給が必須になるのです。
「あれ、ウチの会社、土曜日も日曜日も“割増賃金”支払ってるよ!」
と思った方、次のうちのいずれかです。
①会社の就業規則(あるいは実務)が「いかなる休日出勤でも1.35倍を支給する」となっている。
②1日は休日割増賃金(1.35倍)、もう1日は時間外労働割増賃金(1.25倍)になっている。
①の会社、福利厚生等で意図的に行っている場合は問題ありませんが、
これを知らずに『ALL1.35倍ルール』で出血大サービスしている場合は要チェック!
②の会社が一般的です。
【「休日」に働いて「時間外労働」?】
「“休日”に働いて“時間外労働”ってどういう意味?」
・・・という方は次の例でイメージしてください!
例えば
(月)〜(金)出勤<1日8時間>、(土)(日)<休日> なら、
平日(月〜金)の勤務が終わった段階で
<8時間×5日間=40時間>と
既に1週間の“法定労働時間”に到達しちゃっています。
ココでこの週が終わればそこまでなのですが、
もし(土)に出勤すると、
「週の法定労働時間(40時間)を超過した」=「時間外労働割増賃金を支払う 」
ということになるんですね。
(土)に出勤しても、
週最後の砦である休日(法定休日)が次の日(日曜)に待っているので、
この(土)の段階では「休日割増賃金」は払わなくてもいい。
さらに、翌日(日)も休めなかったら、
この(日)は「法定休日出勤=休日割増賃金」の対象日です!
これらの取扱いは原則であり、
就業規則で定めがある場合にはそちらが優先です。
(法律の内容を下回る場合を除く)
休日出勤時の割増賃金の計算、
あなたの会社の就業規則はどうなっていますか?
チェックポイント
【休日と休暇の違い】
あなたは「休日」と「休暇」の違いを説明できますか?
両方とも「つまりお休み」だから同じようなものだと思ってた?
いえいえ、まったく別物です。
自分が一般的な従業員である時はあまり大きな違いを感じていなくても、
管理する側である以上、
きっちりとその違いを把握しておかなくてはなりません!
【休日とは?】
「休日」とは、労働契約や就業規則等によって
あらかじめ「労働義務がない日」と定められている日のことです。
ですから、この日休むことについて、
会社は基本的にあれこれということができません。
(その例外が「休日労働」ということになります。)
休日において労働した場合、
休日は労働義務のない日、すなわち「所定労働日ではない」ので
所定労働時間がありません。
よって、「休日」の労働は「所定外労働」となり、割増賃金の対象となります。
(前掲記事「休日①」参照)
【「休暇」とは?】
一方、「休暇」とは、
本来は労働義務のある(働くべき)日について、
労働者側の申し出により「労働義務を免除する日」
のことをいいます。
休暇日は本来労働日、ということは「所定労働日」となり、
所定労働時間が存在します。
ですから、
「休暇」となっている日を取り消して労働した場合は、
所定外労働に該当せず、これだけでは割増賃金の対象となりません。
【あなたの会社の夏休みと冬休み、どうなっていますか?】
この「休日と休暇」の考え方がよく混同されている例が
「夏休みと冬休み」です。
もし夏休みや冬休みが就業規則の「休日」の項目に記載されている場合、
その日は「すでに労働義務がない日になっている」ということになります。
「年次有給休暇の計画的付与」を使って
夏休みや冬休みを設定している会社もあると思いますが、
計画的付与であっても年次有給休暇である以上、
その付与日は「所定労働日=本来労働義務がある日」に限定されます。
つまり、就業規則で「休日」と定めてある日については、
“年次有給休暇の計画的付与”を始めとした「休暇」をあてはめることはできません。
また、年間の「休日数」は割増賃金の計算にも影響してきます。(休日③)
自社のルールがどうなっているか、ぜひ確認してみてください。
【休日数で割増賃金が変わる?】
休日か休暇かの違いは割増賃金の計算にも影響します。
1年間で夏休みと冬休み合わせて10日の休みがある場合、
この夏休みと冬休み10日間が「休日」か「休暇」かによって、
必ず支払わなくてはならない割増賃金の金額は変わってきます。
法律で決まっている割増賃金の単価(A)は
割増賃金計算に算入すべき賃金(B)
1年間の平均所定労働時間(C)
で計算されます。
この分母にあたる「1年間の平均所定労働時間(C)」は
1年間の所定労働日数(D)×1日の所定労働時間。
つまり、夏・冬休み10日間が「休日」なら
休日が増える
→1年間の所定労働日数(D)が減る
→割増賃金計算の分母(C)が減る
→仮に(B)が同じであれば
→結果として割増賃金単価(A)は増える。
つまり、ざっくりと言ってしまうと、
<夏休みや冬休みが「休日」だと、割増賃金が高くなる>
ということです。
<風が吹けば桶屋がもうかる>
みたいな話ですが、
こういう意味でも「休日」「休暇」は明確に区別しましょう。
【振替休日(振休)と代替休日(代休)、同じ感覚で使っていませんか?】
休日と休暇に続き、もうひとつしっかり区別しておきたいのが
「振替休日(振休)」と「代替休日(代休)」です。
非常にニュアンスが似ており、
同じ意味合いで使っている会社もあるのではないでしょうか。
しかし、この二つも全く別物ですので、しっかりその違いをつかんでください。
【振替休日(振休)とは?】
休日の振替とは、あらかじめ(事前に)、
就業規則等で休日と定められている日を労働日とし、
別の労働日とされている日を休日として指定することをいいます。
振替休日のポイントは次の4つです。
①就業規則に「休日の振替を行うことがある」旨の記載がある
②事前に振り替えする日を指定しておく
③当初の休日は労働日になる
④同じ週内に指定した場合、割増賃金の支払い不要
【代替休日(代休)とは?】
一方、代替休日(代休)とは
休日労働した後に、その代償として休みを後日与えるものです。
休日労働をした事実は消えていません。
ポイントは次の通り。
①当初の休日はあくまでも休日のまま
②よって、割増賃金の支払いが必要
③時間外・休日労働になるので、36協定の届出が必要
④代休をあたえるかどうかは会社の判断で決めることができる
振替休日が就業規則に記載しなければ利用できないのに対して、
代替休日は会社の任意で与えることができるものです。
逆に言うと、「就業規則に“代休を与える”という記載をする」ということは、
「必ず代休を与えます」という意味になってしまいますので、注意しましょう。
【振替休日が週をまたいだ時は要注意】
結論的にいえば、
振替休日が週をまたぐと、割増賃金が発生することがあります。
「え、振り替えたら休日が入れ替わるんだから、
割増賃金はいらないんじゃないの?」
とお思いになる方もいるかもしれませんが…
週をまたいだ振休の場合、
振替によって「休日が置かれた」週には割増の話はでてきません。
振替によって「労働日が置かれた」方の週がポイントです。
例えば、
振替前に<1日8時間、週5日勤務で40時間>となっている週に
更に振替による出勤で1日(8時間)働くと、
この週の総労働時間は<48時間>となり、
1週間の法定労働時間40時間を超過=時間外割増賃金の支払い必要
ということになってしまうのです。
(同一週内であれば総労働時間は40時間で変わらないので
割増賃金は発生しない、ということです。)
この点は「振り替えをしたら割増賃金不要」と勘違いされているケースが多いので、
十分に注意しましょう。
無意識に「賃金未払い」にならないように!
なお、ここでいう「同一週」のスタート曜日は会社で決定できます。
就業規則に明記しておきましょう。
記載がない場合、「日曜日」スタートとして取り扱われます。
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神奈川県座間市の社会保険労務士岡本事務所です。
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神奈川県座間市の社会保険労務士、岡本豪です。前職は「スーパーの魚屋」!
約10年の間、日々お客様と向き合う接客の現場や部門マネージャーを経験。
そこで身に付けた「強いチームの作り方・育て方」と
社会保険労務士の「法律知識」との合わせ技で
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ポイントは【攻めと守りを意識したルール作り】!