【初めての雇用はわからないことがあって当然です】

今まで自分が雇われていた(サラリーマンだった)方が会社を設立し、

初めて従業員を雇い入れを検討する時、

わからないことがたくさんあるのは当然です。

このサポートをするために私たち社会保険労務士がいるのですが、

ここでは、その「従業員雇い入れ」をする際に押さえておきたい

6つのポイントをお伝えいたします。

① 就業規則

雇用契約

法定3帳簿の備え付け

労働保険・社会保険の手続き

⑤ 36(サブロク)協定

助成金

「ポイント① 就業規則」についてはこのサイトで、

「ポイント⑤ 36協定」についてはこちらのページでお伝えしていますので、

ここでは、①⑤以外の項目についてコメントしておきます。

なお、

「神奈川県で初めての雇い入れを検討している経営者の方」

は併せて専用の当事務所ホームページをご覧ください!

http://www.okamoto-office.org/

【契約時のツボ、押さえていますか?】

従業員を雇い入れるとき、何らかの形で契約をしていると思います。

一般的な「契約」は口約束でも成立します。

その感覚で雇用契約してもいいのでしょうか。

答えは「No」です。

雇用契約書による「書面」での契約を行わなくてはなりません。

なぜか。

労働基準法で「採用の時に書面で明示しておかなくてはいけないこと」

が決められているからです。

何の書面も使わず、口頭説明だけで雇用契約することは、

法律違反になってしまうので注意しましょう。

なお、書面の交付による明示事項は次のとおりです。

1)労働契約の期間に関する事項

2)就業の場所及び従事すべき業務に関する事項

3)始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の就業転換に関する事項

4)賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期に関する事項

5)退職に関する事項 (解雇の事由を含む)

また、つぎの事項については口頭の明示でもよいとされています。

1)昇給に関する事項

2)退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、支払いの時期に関する事項

3)臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項

4)労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項

5)安全・衛生に関する事項

6)職業訓練に関する事項

7)災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項

8)表彰、制裁に関する事項

9)休職に関する事項

あくまでも、“口頭による明示”は必要ですよ。

「明示してもしなくてもよい事項」ではありません

のでご注意ください

でも、これを契約の度に毎回説明するのは大変ですよね。

そこで活躍するのが「就業規則」。

就業規則にはこれらの事項は基本的に全て記載されている

はずですよね

これを雇用契約の際に使わない手はありません!

雇用契約をスムーズに行うためにも、就業規則を整えておきましょう。

また、雇用契約書は同じものを2通作成し、

それぞれ雇い入れ従業員に捺印してもらったうえで

1通は会社、1通は従業員本人がそれぞれ保管するようにしておきましょう。

【法定帳簿とは】

労働者名簿・賃金台帳・出勤簿(タイムカードを含む)

これらを法定3帳簿と呼んだりします。

労働基準法では従業員を雇用する各企業に

法定帳簿の整備を義務付けています。

この法定3帳簿と雇用契約書・災害補償に関する書類には

「整備義務」・「保存義務」があります。

(労働基準法第109条)

監督署の調査が入った場合などは、必ず確認されます。

 

【保存期間】

保存義務期間は3年となっています。

ただし、「起算日以降3年」で、

各帳簿によって起算日が違います。

起算日

1.労働者名簿・・・労働者の死亡・退職・解雇の日

2.賃金台帳・・・労働者の最後の賃金について記入した日

3.出勤簿・・・労働者の最後の出勤日

4.雇用契約書・・・労働者の死亡・退職・解雇の日

5.災害補償に関する書類・・・災害補償の終了日

退職金については、その債権が5年間経過しないと消滅時効しない為、

 5年保存する事が望ましいです。

雇用保険の被保険者の資格取得・喪失は退職後4年間、

 社会保険の関係書類は2年の保存義務があります。

【記載事項】

下記事項は帳簿に記載が必要です。


労働者名簿
1.労働者氏名
2.生年月日
3.住所
4.性別
5.職歴
6.従事する業務
7.雇入れ日
8.死亡や退職の日、及びその理由

賃金台帳
1.労働者氏名
2.性別
3.賃金の計算根拠の事項
4.基本給や手当などの内訳
5.労働日数
6.労働時間数
7.時間外労働時間数
8.深夜労働時間数

9.休日労働時間数
10.控除項目、及びその額

【加入要件】

事業所(会社)として労働保険・社会保険に

加入しなくてはならないのは、

概ね次のような要件を満たした時になります。

労働保険

社会保険

労災保険

雇用保険

健康保険

厚生年金保険

強制加入となる要件

法人事業、個人事業に関わらず、
従業員を一人でも雇う場合1

法人事業所(従業員0人の場合含む2
・従業員5人以上の個人事業
 
(一部の業種を除く) ※3

手続き先

労働基準監督署

ハローワーク

日本年金機構
(年金事務所)

ポイントはやはり

従業員が一人もいなくても、

“法人”であれば社会保険への加入義務がある

ということですね。

※1  雇用保険については、

対象となる従業員の週所定労働時間が20時間以上で、

かつ、31日以上の雇用の見込みがある従業員が対象となります。

※2  非常勤役員や、勤務時間と勤務日数が正社員に比べて少ない

正社員のおおむね4分の3未満)パートタイマーなどは、

社会保険の加入対象となりません。

逆に言えば、それ以上のパートタイマーは加入対象者になります!

※3 従業員5人以上の個人事業でも、強制加入とならない一部の業種:

①第一次産業(農林業、水産業、畜産業等)
②サービス業(旅館、料理飲食店等)
③法務(弁護士、弁理士、公認会計士、社会保険労務士、税理士等)
④宗教(神社、寺院、協会等)

保険未加入のリスク】

<労働保険(労災・雇用)>

労災保険は従業員が業務中・通勤途中において

けがをした場合等の補償を行う保険です。

労災保険では加入手続を怠っていた未加入期間中に

労災事故が発生した場合、

さかのぼって最大2年間分の保険料追徴金10%

 が徴収される

②さらに労災保険から給付を受けた金額の100%または40%

 会社が払わなければならない

③労災事故の事実を隠していたような場合には書類送検となることもある

・・・などのリスクがあります。 

雇用保険についても適切な加入を行っていないと

従業員が退職した際に失業保険の支給が行われないこととなり、

トラブルの原因になります。

雇用保険を財源とする助成金の申請をすることも出来ません

●法律上の罰則:6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金

<社会保険 (健康保険・厚生年金保険)>

社会保険(健康保険・厚生年金保険)は先述のように、

法人の場合であれば、代表者1人であっても加入の義務があります。

社会保険でも加入手続を怠っていたことが判明し、

行政の職権適用(強制的に加入)となった場合、

最大2年間分の保険料がさかのぼって徴収されます。

法律上の罰則:6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金

【そもそも「助成金」とは?】

一般的に厚生労働省所管で取扱っている支援金のことを

「助成金」と呼んでいます。

この助成金は返済する必要のないお金なので、

企業経営の大きなメリットになります。

助成金は主に雇用(人)に関わること、例えば、

労働者を雇入れる時、労働者に教育訓練を行う時、

福利厚生を充実させる時などに活用されます。

(※)参考

国から支援を受けられるものには、助成金の他に、

補助金や公的融資と呼ばれるものがあります。

補助金は主に経済産業省が所管しており、

研究開発やIT企業など特殊で専門的な分野を対象としています。

補助金は公募制が多く審査が行われますので、

条件を満たせば誰でも貰えるというものではありません。

審査を通過すると返済不要で国から支給されます。

公的融資は日本生活金融公庫など返済が必要な支援金になります。

その他、民間団体が運営している支援金や

地方公共団体が運営している支援金もあります。

【どんな会社がもらえる?】

どの助成金についても共通する「要件」は次の通り。

①労働保険(雇用保険)に加入していること。

②労働保険料を滞納していないこと。

③就業規則や法定3帳簿などがきちんと備えられていること。

④事前に計画の作成、提出等の手続きを期間内におこなうこと。

【助成金の財源は?】

厚生労働省関係の助成金は、会社が支払っている労働保険料

(労災・雇用)の一部を財源としています。

つまり、助成金は

全国の会社から集められたお金(保険料)で賄われている

わけです。

条件を満たしているなら、保険料を支払うだけでなく、

助成金制度を有効に活用することを検討しましょう。

一方で、

同じ保険料を支払っている“会社(事業主)”として、

「不正受給(ズルや嘘をついて受給すること)」する会社は

絶対に許せないのではないでしょうか?

ですから、

その受給認定の審査は非常に厳しいものになっていますし、

不正受給が発覚すると「受給分全額+利息の返還」が必要です。

また、取り消しから3年間は他の助成金申請もできません。 

安易な気持ちでの申請はお勧めできません。

【助成金は早めの準備が重要】

助成金はその大きなポイントとして

早めの情報収集と準備が必要

ということが挙げられます。

申請期限が決まっていたり、

いつまでにやっておかなければいけないこと、

反対に、やってはいけないことというのが決まっています。

ひとつでも満たしていない要件があれば、

助成金は支給されません。

あとからではやり直せないことがほとんどなので、

「先に要件等を把握しておくこと」(情報収集)

「それに対応する準備をすること」 (適切な対応)

が欠かせません。

特に、

「受給額が高い助成金ほど、条件設定が厳しい」

ので、先行して情報収集しておきましょう。

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神奈川県座間市の社会保険労務士、岡本豪です。前職は「スーパーの魚屋」!
約10年の間、日々お客様と向き合う接客の現場や部門マネージャーを経験。
そこで身に付けた「強いチームの作り方・育て方」と
社会保険労務士の「法律知識」との合わせ技で
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