年次有給休暇C(繰越しについて)

(年次有給休暇)

  第3項の規定にかかわらず、従業員の過半数を代表する者との書面による協定により、各従業員の有する年次有給休暇日数のうち5日を超える部分について、あらかじめ時季を指定して与えることがある。

  当該年度に新たに付与した年次有給休暇の全部又は一部を取得しなかった場合には、その残日数は翌年度に繰り越される。

 

チェックポイント

【計画的付与について】

サンプル条文5.は計画的付与についての規定ですね。

年次有給休暇の計画的付与についてはこちらでくわしく説明していますので

参照してください。

 

 

【繰越しルールもしっかりと!】

年次有給休暇の時効は2年間です(労働基準法第115条)。

「有給は翌年(度)に限り、繰り越すことができる」

という話は聞いたことがあるのではないでしょうか。

 

ここで、意外とおざなりにされているのがその「消化の順番」です。

 

繰り越し分から消化するのか?

新規付与された分から消化するのか?

 

実は、この年次有給休暇の消化の順番について、

労働基準法では決まりがありません

 

そこで、民法第4881項(2つの同種の債務を負担している場合、返済者は充当すべき債務を指定できますよ、というルール)が代わりに適用されます。

 

つまり、債務(年次有給休暇の付与)を負担している者(会社)は、2つの同種の債務(繰り越し分・新規分)どちらから先に付与するか、この消化順は決めていいですよ、ということです。

 

この消化順を「会社で決める」=「就業規則で定める」ということですよね!

 

この順番を決めていない(会社が指定しない)場合には民法第4882項が代わりに適用されて、本人(従業員)が指定する事ができます。

 

まあ、本人が指定する場合、ふつうは繰り越し分から使うでしょうね(笑)

 

ですから、特に「新規付与分から消化」するルールを設定する場合は

しっかり就業規則にルール決めしておかなくてはダメですよ。

 

また、一般的に「年次有給休暇は繰り越し分から消化する」

と思っている従業員の方が非常に多いです。

就業規則でのルール定義と合わせて、しっかりと「説明」をしておきましょう!

 

 

最後に少し具体例で見ておきましょう。

 

入社6ヶ月後に10日付与

  ↓ この期間、全く年次有給休暇を取得せず

入社1年6カ月後、11日付与(11日+繰越10日)

  ↓ この期間(Y)で、「5日間」取得

入社2年6カ月後、12日付与(12日+繰越?日)

  →ここで「繰越しできる日数」に違いが!

 

<A:年次有給休暇が「繰越し分から消化」の場合>

(Y)の期間で消化されるのは入社6カ月後(10日)分。

よって、入社2年6ヶ月時点において

○入社6カ月後(10日−5日=5日)分は時効により消滅

○入社1年6ヶ月後(11日)分はそのまま繰越

よって、繰越し日数は11日となります。

 

<B:年次有給休暇が「本年度(新規)付与された分から消化」の場合>

(Y)の期間で消化されるのは入社1年6ヶ月後(11日)分。

よって、入社2年6カ月後時点において

○入社6カ月後(10日)分は時効により消滅

○入社1年6ヶ月後(11日−5日=6日)分が繰越

よって繰越し日数は6日となります。