第9条(休  職)

  従業員が、次の場合に該当するときは、所定の期間休職とする。

①私傷病による欠勤が○ヶ月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないと認められたとき・・・○年以内

②前号のほか、特別な事情があり休職させることが適当と認めらたとき・・・必要な期間

  休職期間中に休職事由が消滅したときは、もとの職務に復帰させる。

ただし、もとの職務に復帰させることが困難であるか、又は不適当な場合には、他の職務に就かせることがある。

  第1項第1号により休職し、休職期間が満了してもなお傷病が治ゆせず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする。

チェックポイント

【休職制度の特徴を押さえるべし!】

休職制度とは、従業員が私的な傷病や事故等により職務を遂行できない

(または就労させるのが適切ではない)場合に、

すぐに退職や解雇とせずにその身分を一定期間存続させつつ、

その回復(復帰)を待ってあげる、という制度です。

休職制度には大きな特徴が2つあります。

休職制度は法律で定め(義務付け)されたものではない

休職事由(どんな時に休職とするか)、休職期間などは会社で任意に決められる。

多くの会社で取り入れられているため、誤解されていることがありますが、

休職の定めは法律上の義務ではありません

つまり「ウチの会社は休職制度を設けない」とすることもできるんです。

そして、法律に定めがないからこそ、

就業規則で定められている内容が「根拠」として重要な意味をもつことになります。

では、置かなくてもよい制度なのに、なぜ多くの会社が休職制度を設けているのでしょうか?

一つの大きな理由は会社の福利厚生、従業員へのフォローです。

そして、もう一つポイントがあるのですが、

これは退職事項と大きく関わってくる点があるので、そこで説明したいと思います。

「休職制度」においては、重点的に確認すべき項目が4つあります。

①休職事由 ②休職期間 ③期間の通算 ④復職

【①休職事由】

※前提として、休職の対象となる従業員群を明確にしておきましょう。

(休職制度については、正社員のみを対象としている会社が多いですね。)

この「どんな時に休職になるか」の定義はとても重要です。

ここが明確になっていないと、ズルズルと“ただの長期欠勤”に突入してしまうことがあります。

前述のように、休職は法律で決められたものではないわけですから、

「会社が」そのスタートを決めなければ(命じなければ)なりません。

決して“なんとなく”あるいは“自動的に”スタートするようなものではありません!

「どんな時」に「いつから」休職を命じるのか、明確に決めておきましょう

また、最近急増している「うつ」等の精神疾患もこの規定と大きく関連しています。

うつのような精神疾患の場合、必ずしも連続的な欠勤ばかりとは限りません。

断続的な欠勤や不就労(遅刻や早退など)にも対応できる規定にしておきましょう。

【②休職期間】

「休職期間」についての押さえどころはその「長さ」と従業員の「勤続期間」です。

大企業の場合は多少違うかもしれませんが、

中小企業の場合、いくら従業員が病気で入院したとはいえ、

1年も2年も「その人不在」を現実的に残っているメンバーでカバーできるでしょうか?

入院している人が戻ってくることが前提ならば、

その穴を埋めるために新たに人を雇うことも難しく、

その期間は他のメンバーにそっくりそのまま負担がかかることになってしまいます。

仮にその間に今度は他のメンバーが倒れて…などという連鎖が起こったら最悪です。

あなたの会社の実態に即した「長さ」を設定しておかないと大変です。

例をあげますが、

Aさん:入社1ヶ月

Bさん:入社3年

Cさん:入社10年

・・・この3人に同じ期間の休職期間を設定するのは少し違和感がありませんか?

休職期間は勤続期間によってその長さを変えることも可能です。

労に報いる(福利厚生)という意味でもその方が“現場の従業員も納得”ですよね。

それから、休職期間について

サンプル規定の様な「○年以内」という“ざっくり”した期間設定方法は避けましょう

一見使い勝手がよく便利そうに見えますが、

その都度、期間の判断を必要とすることになります。

その都度決めることというのは、「状況判断」なので、

どうしても基準が曖昧(感覚的)になってしまいます。 

その曖昧さ故に、

「今回のケースにおいてこの休職期間は短かすぎるのではないか」

等の理由で従業員とのトラブルになってしまうことがあります。

そもそも、いきなりそういう状況(休職)になった会社(あなた)が

冷静に休職期間を決めるなんて、そうそう簡単にできる事ではありません。

あなたは「適切な期間」なんて、いきなり決められますか?

「その期間の根拠はなんですか?」と詰め寄られた時に、客観的な説明できますか?

・・・はい、絶対に修正しておきましょう。

【③期間の通算】

休職した従業員が一度復帰しても、しばらくしてまた休み始めてしまうことがあります。

また、まったく同じ病気(または原因)ではないにしても、

類似の病気(または原因)で同様に休んでしまうこともあります。

やはり、精神疾患(うつ病)などのケースに多いようです。

こういう時、これらの期間も「通算」して休職期間とすることを決めておきましょう。

そうしておかないと、

1ヶ月休職→復帰(休職期間ゼロリセット)→再発、1ヶ月休職→復帰(ゼロリセット)・・・

という流れが延々と続くことになってしまいます!

【④復職】

回復したら職場復帰するわけなのですが、

じゃあ、この「回復」という判断は誰がするんでしょうか?

「掛かり付けのお医者さん」と思ったあなた、

就業規則の作成に主眼を置いた場合、その答えは少し違います。

正解は「会社」です。

休職開始を決めるのは法律ではなく会社でしたよね。

そして、これは労働を免除するという福利厚生であるとともに、「業務命令」でもあるわけです。

ですから、この業務命令の終了(復職)の判断も

当然「会社」が行うものとしておかなくてはなりません

なお、休職制度全般を通して「医師の診断書」を求める規定を入れる場合、

その診断書費用は誰が負担するのかも併せて記載しておくとGOODです。

負担者は会社でも本人でも、どちらでも構いません。

法律でのルールはありませんからね。

ただ、結構費用がかかりますので、事前にきちんと決めておきましょう。

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神奈川県座間市の社会保険労務士、岡本豪です。前職は「スーパーの魚屋」!
約10年の間、日々お客様と向き合う接客の現場や部門マネージャーを経験。
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