人事異動(配置転換、出向)

第8条(人事異動)

  会社は、業務上必要がある場合は、従業員の就業する場所又は従事する業務の変更を命ずることがある。

  会社は、業務上必要がある場合は、従業員を在籍のまま関係会社へ出向させることがある。

 

チェックポイント

【権利の濫用には要注意!】

配置転換(同じ会社内で働く場所や担当業務がかわること)や

出向(他の企業内において働く形態)については、

「そういう業務命令があるんだ」ということを

きちんと就業規則で決めて(記載して)いなくてはいけません。

 

通常の会社では当然のようにこのような「人事異動」が行われていますが、

実は、就業規則のこの条文を根拠に成り立っているんですね。

 

なお、実際にはここでとりあげたサンプル条文ではちょっと役不足です。

下記の3点にも注意しておきましょう。

 

【@業務命令なので遵守が原則。でも… 】

ここでの人事異動は「業務命令」であり、

従業員は「行きたくない」とか「やりたくない」という理由でこれを受け入れない、

という選択肢を基本的には持っていません。

 

ひらめきですから、「転籍」の場合(B参照)を除いて、

それらを拒むことができないことを就業規則に明記しておきましょう。

 

ただし、「じゃあ会社は何でもかんでも一方的に人事異動を出せるのか?」

というと、そんなことはありません。

やはり、

「業務に関係のない異動」

「会社側に不当な動機・目的がある異動」

「特殊な事情を抱えている場合の転勤(例:従業員本人が育児・介護・看護しなくてならない家族がいる場合等)」

などについては、会社側に配置命令の権利は認められません。

 

【A意外と盲点?「引き継ぎ」について 】

人事異動があった場合、意外におざなりにされるのが「引き継ぎ業務」です。

自分の意に反した人事異動が出て、投げやりになり、

引き継ぎをきちんと行わない(せめてもの反抗なのかもしれませんが…)、

昇進異動が決まって舞い上がって今の業務の引き継ぎなんて手につかない、

・・・ということも実際にはあります。

しかし、引き継ぎまで含めて「業務」です

他のメンバーやお客様にも迷惑がかかります。

就業規則の中に、きちんと引き継ぎを行うことも併せて記載しておきましょう。

 

【B「在籍出向」と「移籍出向」は別の物。】

出向は、更に二つの種類に分けることができます。

在籍出向と移籍出向です。

 

在籍出向はサンプルでもでてきた形態、

現在の企業に籍を残したまま別の企業で働くタイプの出向です。

一般的に「出向」という場合、こちらを指します。

 

これに対して、移籍出向は「転籍」とも言われるように、

現在の会社との労働契約関係が終了し、

別の会社で新たに労働契約を結ぶこと(籍が変わること)をいいます。

ひらめき転籍の場合、就業規則に定めがあっても、

必ず個別に「本人の同意」を得なくてはなりません。 

 

「出向」の規定とは別に「転籍」の規定も整備しておくことで、

従業員にもその違いを周知しておきましょう。